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特定居住用宅地等の範囲は? Ver.1 【新潟相続専門税理士ブログ】

Question
昨年死亡した父は、5年前に母が死亡した後は一人で暮らしていました。長女の私は、父の近所で夫の所有する家屋に私たちの家族(夫婦と子1人)で住んでいました。父は死亡する約1年前に発病し、自宅療養することになったため、私は自分の家族の面倒も見ながら毎日父の家屋に泊り込んで看病していました。父の遺産を整理するに当たっては、父が住んでいた家屋とその敷地は私が相続することで兄弟間の話合いがまとまりそうです。父が居住していた家屋に居住していた者がその家屋の敷地を相続して居住する場合には、その土地は小規模宅地等のうち特定居住用宅地等の対象となると聞きました。私も約1年間は父の居住していた家屋に寝泊まりしていたので、その家屋の敷地を私が相続し、引き続き居住すればこの取扱いの適用を受けられるでしょうか。

 

Answer
今回の場合現に被相続人の居住していた家屋で寝起きしていたとしても、被相続人と同居していたとはいえず、その宅地等は特定居住用宅地等とはなりません。

小規模宅地等のうち特定居住用宅地等とは、被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、被相続人の配偶者又は次に掲げる要件のいずれかを満たす被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した当該宅地等(相続税の申告期限までその宅地等を所有している場合に限る。)とされています。

その要件とは、

(1) その親族が相続開始の直前に被相続人が居住していた建物に居住していて、相続開始時から相続税の申告期限まで引き続きその宅地等を所有し、その建物に居住し続けていること。

(2) 被相続人に配偶者又は同居の相続人がいない場合は、次の要件を満たす親族が相続開始の時から申告期限まで引き続きその宅地等を所有していること。

・相続開始前3年以内に国内にいる親族、親族の配偶者、親族の三親等内の親族又はその親族と特別の関係がある法人が所有する家屋に居住したことがない。

・その親族が相続開始時点において居住している家屋を相続開始前に所有していたことがない。

(3) その親族が被相続人と生計を一にしていた者であって,相続開始前から相続税の申告期限まで引き続きその宅地等を自己の居住の用に供していること。

今回はあなたが上記(1)の「相続開始の直前においてその宅地等の上に存する被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた者」といえるかどうかということがポイントです。

ここでは居住していた者とありますが、居住とはその場所を生活の拠点とすることを言います。つまり、一般的に「被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた者」は,被相続人と同居していた方と考えられます。被相続人と同居していたかどうかは、被相続人の居住していた家屋において被相続人とともに起居していたかどうかによって判定されます。そして、この判定に当たっては、その方の日常生活の状況、その建物への入居目的、その建物の構造及び設備その他の状況を総合勘案する必要があります。つまり、小規模宅地等の特例の適用を受けるためのみの目的で入居したと認められる場合や、例えば、自分の新居を建築中の間だけ等、一時的な目的で入居したと認められる場合は、仮にその間現に被相続人の居住していた家屋で起居していたとしても、被相続人と同居していたとはいえません。

今回の場合、被相続人は従来から一人暮らしであったことや、あなたが被相続人が居住していた家屋に寝泊まりすることとなった事情が、被相続人の看病のためということなので、お父様の病気という一定の事情が解消するまでの間だけ居住する等一時的な目的で入居したと認定されます。

そして、あなたの生活の本拠は夫所有の家屋ということになるので,上記(2)の要件も満たさず、特定居住用宅地等とはならないことになります。

このように、生活スタイルによって特定居住用宅地に該当するのかどうか、判断しづらいことが多々あるかと思います。自分の場合はどうなるんだろう?と思った場合はぜひご相談ください。

【新潟で相続(相続対策・相続手続き・相続税申告)について相談するなら税理士法人フォーカスクライド(新潟オフィス)までご連絡ください。】
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