相続後の事業承継で重要な認定制度 第一種特例相続認定中小企業者の要件を解説

中小企業者が金融支援を受けるために、都道府県知事から「第一種特例相続認定中小企業者」に係る認定を受けるには、単に「代表者が相続または遺贈によって取得した株式等について、相続税の納付が見込まれること」だけでは足りません。実際には、その会社や代表者の状況について、法令上かなり細かな要件を満たしている必要があります。
まず前提として、この認定は、事業承継税制の特例制度の中で、相続により事業を引き継いだ後継者が一定の支援を受けるための重要な手続です。そのため、認定の対象となる会社は、事業を実際に継続している中小企業であり、制度の趣旨に沿った承継が行われていることが求められます。
会社に関する要件としては、相続開始後も非上場会社であり、かつ風俗営業会社に該当しないことが必要です。さらに、資産を保有すること自体を主たる目的とする会社や、資産運用を中心とする会社でないことも求められます。言い換えれば、実体のある事業を行っている会社でなければならないということです。また、休眠会社でないことも条件とされており、一定期間の各事業年度において総収入金額がゼロを超えていることが必要です。
加えて、相続開始時点において、常時使用する従業員が一定数以上いることも要件です。原則として従業員が1人以上必要であり、特別子会社が外国会社に該当する場合には5人以上が求められることがあります。この点からも、実際に継続的な事業活動が行われている会社であることが重視されているといえます。
子会社についても条件があります。中小企業者の特定特別子会社が、上場会社や大会社、あるいは風俗営業会社に該当していてはなりません。つまり、親会社だけでなく、企業グループ全体としても制度の趣旨に適合していることが必要です。
次に、後継者である代表者自身にも厳格な要件があります。この代表者は「第一種特例経営承継相続人」に該当しなければなりません。具体的には、相続または遺贈により会社の株式等を取得した代表者であり、相続開始時点で、その代表者と同族関係者を合わせて総議決権の過半数を保有していることが必要です。そのうえで、代表者が一人で承継する場合には、同族関係者の中で最も多くの議決権を有していなければなりません。二人または三人で承継する場合には、それぞれが総議決権の10%以上を持ち、かつ他の同族関係者より劣後しない議決権を有していることが求められます。
また、原則として、その代表者は相続開始直前に会社の役員であったことも必要です。ただし、一定の場合には例外もあります。さらに、相続または遺贈によって取得した株式等のうち、相続税の納税猶予・免除の適用を受けようとする非上場株式等のすべてを、相続後も保有していることが求められます。
このほか、その代表者が過去に同じ制度の第一種または第二種の特別贈与認定や特別相続認定に基づく贈与や相続を受けていないことも条件です。あわせて、その代表者が、経営承継円滑化法施行規則に基づく確認を受けた中小企業者に係る特例後継者であることも必要です。
被相続人、つまり亡くなった先代経営者にも要件があります。被相続人は、相続開始直前において、同族関係者と合わせて総議決権の過半数を有しており、かつ後継者となる者を除いた同族関係者の中で、議決権数が最上位であったことが必要です。また、被相続人がすでに第一種特例贈与認定や第二種特例贈与認定に係る贈与をしていないこと、さらに確認に係る特例代表者であることも求められます。
さらに、会社が拒否権付種類株式、いわゆる黄金株を発行している場合には、その株式を後継者である代表者以外の者が保有していないことも必要です。これは、事業承継後の経営の安定性を確保するための要件といえます。
そして最後に、これらの形式的な条件を満たしているだけでなく、会社の事業活動の継続に支障を生じさせるような事情がないことも必要です。制度の目的は、あくまで円滑な事業承継と事業の継続を支援することにあります。そのため、実質的に見て事業継続が困難な状況にある場合には、認定が認められない可能性があります。
このように、都道府県知事の第一種特例相続認定中小企業者に係る認定を受けるためには、相続税の納付が見込まれることに加え、会社の事業実態、従業員の有無、子会社の状況、後継者である代表者の立場や株式保有の状況、さらに先代経営者の要件まで、幅広く確認されます。制度を利用しようとする場合には、単に株式を相続したというだけでは足りず、会社と後継者の双方が制度趣旨に適合しているかを丁寧に確認することが大切です。
※この記事は税理士事務所の見習いスタッフが日頃の業務で感じたことや素朴な疑問をコラムとして掲載しております。念のため専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は責任を負いかねますので、個別具体的な案件に関する疑問やご相談がある場合には、弊所代表税理士「うめちゃん先生」まで直接問い合わせを頂くか、「お問合せフォーム」からお問合せ下さい。無料相談会も随時実施していますので(完全予約制)お気軽に活用ください。
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