相続税の納付に備えるための都道府県知事認定申請とは?中小企業が押さえたい手続きと必要書類

相続や遺贈によって中小企業の株式を取得した結果、相続税の納付が見込まれる場合には、金融支援を受ける前提として、会社が都道府県知事の認定を受ける必要があります。以前は経済産業局が窓口でしたが、平成29年4月1日以降は、申請企業の主たる事務所が所在する都道府県が窓口となっています。
この認定を受けるためには、一定の期限までに申請書と関係書類を提出しなければなりません。提出期限は、原則として相続開始の日の翌日から8か月を経過する日までです。なお、相続税の申告期限前に第一種経営承継相続人が亡くなった場合には、その方の相続開始の日の翌日から8か月を経過する日が新たな基準となります。申請にあたっては、規則様式第8による申請書を作成し、その写し1通とともに必要書類を添付して提出します。
必要書類は多岐にわたります。まず、会社の現状を示す基本資料として、相続に係る第一種相続認定申請基準日における定款の写しが必要です。さらに、株主構成の変化を確認するため、相続開始の直前、相続開始の時点、そして申請基準日における株主名簿の写しを提出します。被相続人が相続開始直前に代表者でなかった場合には、被相続人が代表者であった時点の資料も求められます。持分会社の場合には、株主名簿に代えて一定時点の定款の写しを提出することになります。
会社の登記内容を確認するために、申請基準日以後に作成された登記事項証明書も必要です。被相続人が相続開始直前には代表者でなかった場合でも、過去に代表者であったことがわかる記載のある証明書が含まれます。
また、相続税の納付見込みに関する資料も重要です。第一種経営承継相続人が株式等を取得した事実を示す資料として、遺言書の写しや遺産分割協議書の写しなどを提出します。遺産分割協議書については、共同相続人および包括受遺者全員が自署し、押印していることが必要です。これらに加えて、取得した株式等に係る相続税の見込額を記載した書類も添付します。
会社の従業員数を確認するため、相続開始の日および申請基準日における従業員数証明書も提出します。さらに、会社の財務状況を示すため、申請基準事業年度に係る財務諸表を添付します。株式会社であれば貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表が必要であり、持分会社であれば社員資本等変動計算書を含む同様の書類が求められます。資産保有型会社や資産運用型会社に該当しないものとみなされる会社については、相続開始日前3年以内に終了した各事業年度の資料も含まれます。
申請時には、一定の要件に該当しないことを約束する誓約書も必要です。たとえば、相続開始の時から申請基準日までの間に、その会社が上場会社等や風俗営業会社に該当していないことを誓約しなければなりません。加えて、特別子会社や特定特別子会社がある場合には、その子会社に関する誓約書も求められます。具体的には、外国会社に該当する特別子会社の株式や持分を保有していない旨や、特定特別子会社が上場会社、大会社、風俗営業会社に該当していない旨を記載した書類です。
親族関係を確認するための資料として、被相続人およびその親族、さらに第一種経営承継相続人およびその親族の戸籍謄本等、または法定相続情報一覧図も提出対象となります。ただし、この点は会社の実態によって対象範囲が限定される場合があります。たとえば、親族外従業員が5人以上いること、そうした従業員が働く事務所や店舗、工場などを会社が所有または賃借していること、そして相続開始日まで引き続き3年以上にわたって商品販売や役務提供などの事業を行っていることなど、一定の条件を満たす場合には、その会社の株式等を有する親族に限って取り扱われます。
そのほか、申請内容を補足し、認定の参考となる書類の提出を求められることもあります。なお、これらの書類に関する考え方は、経営承継円滑化法第12条第1項の認定のうち、施行規則で定める一定事由に係る認定を受けようとする会社にも準用されます。
申請先は、現在では主たる事業所の所在地を管轄する都道府県知事です。提出後、都道府県知事は審査を行い、認定をした場合には規則様式第9による認定書を交付します。反対に、認定しないと判断した場合には、規則様式第10によってその旨が申請会社へ通知されます。
もし提出期限までに申請書を提出できなかったとしても、直ちに救済の余地がなくなるわけではありません。提出期限までに提出できなかったことについて、申請者の責任によらないやむを得ない事情があると都道府県知事が認めた場合には、その事情が解消した後、遅滞なく申請書と事情説明書を提出することで、期限内に提出されたものとして取り扱われる特例があります。
さらに、経済産業大臣は、第一種特別相続認定中小企業者における円滑な経営承継のために必要があると認める場合、都道府県知事に対して、認定書の交付を受けた会社の名称や代表者氏名など、必要な情報の提供を求めることができます。
この手続は、単に書類を出せば足りるものではなく、相続に伴う株式の承継状況、会社の経営実態、財務内容、親族関係などを総合的に確認する仕組みになっています。そのため、実際に申請を進める際には、必要書類を早めに洗い出し、期限を意識しながら準備を進めることが大切です。特に、戸籍関係書類や遺産分割協議書、過去の財務諸表などは収集に時間がかかることがあるため、余裕を持って対応することが望まれます。
※この記事は税理士事務所の見習いスタッフが日頃の業務で感じたことや素朴な疑問をコラムとして掲載しております。念のため専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は責任を負いかねますので、個別具体的な案件に関する疑問やご相談がある場合には、弊所代表税理士「うめちゃん先生」まで直接問い合わせを頂くか、「お問合せフォーム」からお問合せ下さい。無料相談会も随時実施していますので(完全予約制)お気軽に活用ください。
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