事業承継で贈与税を抑えるには?第一種特別贈与認定のポイントをわかりやすく解説

事業承継を考え始めたとき、「自社株を子どもに贈与したい」「できるだけ税負担を抑えたい」と考える方はとても多いと思います。そのときに大きなポイントになるのが、いわゆる“贈与税の納税猶予制度”です。この制度を活用できれば、自社株を後継者に贈与した際の贈与税について、一定の要件を満たすことで納税が猶予され、最終的には免除される可能性もあります。
ただし、この制度は「誰でも使える」わけではありません。金融支援や税制優遇を受けるためには、まず都道府県知事の認定(第一種特別贈与認定中小企業者)を受ける必要があります。そしてその認定には、いくつもの細かな要件が定められています。
まず大前提として、会社そのものが“健全な事業会社”であることが求められます。上場企業ではないこと、風俗営業など一定の業種に該当しないことはもちろん、実態のない休眠会社であってはいけません。直近の事業年度にきちんと売上があり、従業員も原則として1人以上いることが必要です。いわば「名前だけの会社」や「資産管理だけをしている会社」ではなく、きちんと事業を営んでいる会社であることが前提になります。
また、会社が単なる資産保有会社や資産運用会社とみなされないことも重要です。不動産や有価証券を持っているだけで実業が伴っていない場合などは対象外になる可能性があります。事業承継税制は“事業の継続”を支援する制度なので、「事業をしている会社」であることが強く求められているのです。
次に、後継者となる方の条件も細かく決められています。贈与を受ける人は会社の代表者であり、かつ18歳以上で、贈与の日まで3年以上役員を務めている必要があります。突然名義だけを移すようなケースは想定されていません。実際に経営に関わり、将来会社を担っていく立場にあることが求められます。
さらに、後継者は贈与によって会社の議決権の過半数を同族関係者と合わせて保有し、その中でも中心的な株主である必要があります。簡単に言えば、「経営権がきちんと後継者に集中していること」が重要なのです。加えて、贈与者(先代経営者)についても、贈与前に筆頭株主であったことなど、一定の支配関係が求められます。
贈与の方法にもルールがあります。基本的には、先代が持っている株式を原則すべて、もしくは経営権を確実に移転できるだけの株数を、後継者に贈与することが必要です。中途半端な移転ではなく、「本格的な事業承継」であることが制度の前提になっています。
そして見落としがちなのが、雇用の維持です。贈与後も一定割合(原則80%)以上の従業員数を維持することが求められます。つまり、この制度は単なる節税策ではなく、「会社と雇用を守るための制度」なのです。従業員の生活を守りながら、円滑に次世代へバトンを渡すことが目的とされています。
また、いわゆる“黄金株”(拒否権付株式)を発行している場合には、その株式を後継者以外が持っていないことも条件になります。経営の実権がきちんと後継者にあることが、ここでも重視されています。
このように、事業承継税制は非常にメリットの大きい制度ですが、その分、要件は多岐にわたります。しかし裏を返せば、「本気で事業を承継し、会社を継続させていく意思がある」経営者にとっては、強力な支援策です。
事業承継は、単なる株の移転ではありません。経営権、責任、そして従業員の未来を次世代へ引き継ぐ大きな決断です。だからこそ、早い段階から制度の内容を理解し、計画的に準備することが重要になります。節税という視点だけでなく、「会社をどう残すか」という視点で、この制度を上手に活用していくことが、これからの時代の賢い事業承継といえるでしょう。
※この記事は税理士事務所の見習いスタッフが日頃の業務で感じたことや素朴な疑問をコラムとして掲載しております。念のため専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は責任を負いかねますので、個別具体的な案件に関する疑問やご相談がある場合には、弊所代表税理士「うめちゃん先生」まで直接問い合わせを頂くか、「お問合せフォーム」からお問合せ下さい。無料相談会も随時実施していますので(完全予約制)お気軽に活用ください。
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