税理士事務所見習いスタッフコラム【事業承継編】自社株評価を下げたい!相続税対策で活きる“株式分割”の現場から
■株価が高くてうれしいけど、ちょっと困る話
「うちの会社、最近けっこう評価上がってきたなぁ」ってポロッとこぼした社長。表情はなんとなく誇らしげだけど、目の奥が曇ってる。そりゃそうです。業績が上がるのは嬉しいけど、自社株の評価額が高くなるってことは、そのまんま相続税のプレッシャーが増すってことですからね。これ、よくある“うれしくない悲鳴”です。
こんにちは。新潟で働く税理士事務所スタッフです。日々の仕事の中で、こういう「株の評価が上がってきちゃった問題」にぶち当たる社長さんは、たくさんいらっしゃるようです。今回はそんな現場の一つをご紹介しながら、「株式分割って実はすごく使えるよ!」というお話をさせていただきます。
■株式分割って、実は中小企業にもピッタリな方法なんです
「株式分割」って聞くと、「うちみたいな非上場企業には関係ないでしょ?」と思われる方、多いです。でもね、それってすごくもったいない誤解です。実際には、株式分割って相続税対策としてとっても有効で、しかもきちんと設計すれば税務署にだって堂々と説明できる、立派な対策なのですよ。
簡単に言えば、株式分割っていうのは「1株を2株や10株に分ける」こと。パイの大きさは変わらないけど、切り分けた数が増える、そんなイメージですね。結果として、1株あたりの価値が下がります。で、相続や贈与ってこの“1株あたりの評価額”が税金の計算に使われるわけです。
つまり、全体の価値が同じでも、分け方次第で税金の額はコントロールできるということ。これをうまく活かしたA社のケースを紹介します。
■「そろそろ株、子どもに渡したいんだけど…」
A社は創業30年の製造業。従業員20名ほどの堅実な会社で、売上も安定、息子さんも役員として会社に入ってバリバリ働いています。そんなある日、社長(=お父さん)がご相談に来ました。
「うち、そろそろ株を息子に渡したくてね。でもこのままじゃ税金がとんでもない額になりそうで…」
そうなんです。調べてみると、A社の1株あたりの評価額が9万円。発行済株式数は少なく、社長が9割以上を持っている状態。このまま贈与すれば、たとえば1000株渡すだけで評価額は9000万円。これに相続税や贈与税が乗ってくるわけです。ちょっと気が遠くなりそうですよね。
そこで提案したのが、株式分割。
具体的には、1株を10株に分けることで、1株あたりの評価額を9万円から9000円に抑えました。会社の価値は何も変わっていません。でも、少しずつ贈与していくには、この9000円の単位の方がずっと扱いやすい。
しかも、株数が増えることで、贈与のタイミングや量を細かく調整できるようになったのも大きなメリット。このケースでは分割後に段階的な贈与を実施できました。
■でも、“分割=節税”と思われたらアウト
ここで一つ大事なことをお伝えします。
重要なのは、“節税目的”じゃなく“事業承継のため”というストーリーをちゃんと描くこと。
私たち税理士事務所の役割は、そこにしっかり寄り添うこと。分割の根拠資料や贈与のスケジュール設計、事業承継の意図をしっかり言語化して、税務署と“対話できる資料”に落とし込むのです。
■節税じゃなくて、未来のための設計図
結局のところ、株式分割って、ただのテクニックじゃないのですよね。
「次の世代に会社をどう引き継ぐか」を形にするための設計図になる。だからこそ、やると決めたら丁寧に、計画的に進めてほしいのです。
まずは、「うちの株って今どれくらい評価されてるの?」ってところからスタートしましょう。そして、「じゃあ、誰にどう渡していくのが理想かな?」と考えてみてください。
もし、「このままじゃ相続税が心配だな」と感じたら、その不安、私たちが受け止めます。節税の話じゃなくて、“未来を渡す方法”を一緒に考えましょう。
ちょっと話してみたいなと思ったら、お気軽にご相談くださいね。
※この記事は税理士事務所スタッフが日頃の業務で感じたことや素朴な疑問をコラムとして掲載しております。念のため専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は責任を負いかねますので、個別具体的な案件に関する疑問やご相談がある場合には、弊所税理士「うめちゃん先生」まで直接問い合わせを頂くか、「お問合せフォーム」からお問合せ下さい。随時実施している無料相談会(完全予約制)もごお気軽に活用ください。
「うめちゃん先生」ってどんな人? うめちゃん先生のご挨拶動画はこちら
シェアする