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税理士事務所見習いスタッフコラム【財産評価編】生命保険の受取人が亡くなっている場合、その保険金はどのように分配されますか?


保険金の話って、ちょっと身構えますよね。
特に「生命保険」って聞くと、「うっ…縁起でもない!」と反射的に思ってしまう方も多いかもしれません。でも実は、相続の現場ではめちゃくちゃ登場回数が多い存在なのです。
しかも、一見スムーズにいくはずの「生命保険の受取手続き」が、思わぬ落とし穴で大ごとになることも。





たとえば、「受取人がもう亡くなっていた」パターン。
…え?そんなことある?って思いました?
あるのです。けっこうな頻度で。





生命保険って、亡くなった方が「自分が死んだらこの人に保険金を渡してね」と、生前に指定しておくものですよね。
そして、相続財産とは別に扱われる“受取人固有の財産”として認識されているのが一般的です。





でもこの“受取人”が、いざ亡くなったときにすでにこの世にいなかったら――?





このとき、「じゃあ保険金はどうなるの?」という疑問が出てきます。
誰に渡すべき? 相続財産になる? それとも…?





実はこれ、保険の契約内容やタイミング、そして“法律上のルール”によって取扱いが大きく変わる、ちょっとややこしいトピックなのです。
そしてそのややこしさゆえに、税務署の調査でも注目されやすいポイントでもあります。





こんなケースがありました。





「父が亡くなったんですが、保険会社から“受取人がすでに亡くなっているので手続きできません”と言われてしまった」というのです。
保険証券を確認すると、確かに「受取人:長男 太郎」と書いてある。でもその太郎さん、実はお父様より先に亡くなっていたのです。





「じゃあ、代わりに次男の私がもらえるのですかね?」と聞かれたのですが――そう単純にはいかないのが保険金の怖いところ。





実はこのときの分かれ道は、ズバリ「受取人が亡くなったタイミング」によって変わってくるのです。





基本的な考え方として、






  • 被保険者(=亡くなった方)より先に受取人が亡くなっていた場合
     → 指定された受取人は“存在しない”とみなされるため、保険金は「相続財産」として扱われます。




  • 被保険者と受取人がほぼ同時に亡くなった場合(例えば事故など)
     → 原則は「保険金の受取権が発生していない」とされ、同様に相続財産扱いになることが多いです。




  • 被保険者が亡くなった後に、受取人も亡くなった場合
     → 保険金は一度受取人の財産となるため、その人の“相続財産”として、さらに次の相続人に分配されます。





たとえば、被保険者Aさん → 受取人Bさん → その子Cさん
という関係だとして、Aさんが亡くなり、その直後にBさんが亡くなった場合、保険金は一旦Bさんのものとして処理され、その後Cさんに引き継がれます。





こういったケースは、生命保険の契約時点ではなかなか想定しないもの。でも実際の相続現場では、こうした“時間差トラブル”がしばしば起きてしまうものなのです。





さて、ここでちょっと視点を変えて、税務の話に触れてみましょう。





受取人が存在せず、生命保険金が「相続財産」扱いになると、当然、相続税の課税対象になります。
生命保険には、「非課税枠」(法定相続人×500万円)がありますが、それを適用するには「誰が受取人だったのか」「その人がいつ亡くなったのか」など、細かな確認が必要になってきます。





この確認を怠ったまま申告してしまうと、後から税務署に「これは本当に非課税でいいのですか?」とツッコミを受ける可能性も。
そして、生命保険金が“相続財産”としてカウントされると、他の相続人との分け方、遺産分割協議の対象にもなり、モメる火種になることも…。





また、保険金がいったん亡くなった受取人の相続財産になるパターンでは、「二次相続」として新たに相続税申告が必要になる可能性もあるのです。
つまり、「誰がいつ亡くなったか」によって、相続税の課税対象が一気に変わってくるというわけ。





だからこそ、私たち税理士事務所としては、保険証券の内容と実際の死亡日を照らし合わせて、ちゃんと「受取人の生死確認」をしておくことをオススメしています。





生命保険って、もらえるときにはまとまった金額になるので、つい「ラッキー」と思われがちですが、その裏には契約内容とタイミングの綱渡りが潜んでいます。





特に、受取人がすでに亡くなっていた場合は、「相続税の申告が必要になるか」「遺産分割の対象になるか」「二次相続が発生するか」など、ややこしい判断が続出。





「うちは家族仲がいいから大丈夫」と思っている方こそ、いざというときに「え?それって誰のもの?」となりがちなのです。





ですので、生命保険の契約を見直すときは、受取人がちゃんと“生きているか”、これをぜひチェックしてください。
そして、もし不安な点があれば、税理士や保険会社に遠慮なく相談してくださいね。





私たち税理士事務所も、そういうときの「最初の相談窓口」でありたいと思っています。





保険金は、悲しみの中にいるご家族への大切な支え。
でもそのお金が原因でトラブルになってしまったら、故人もきっと浮かばれませんよね。





だからこそ、事前の確認と、ちょっとした知識がすごく大事なのです。
ぜひ今一度、保険証券を引き出しから出して、受取人欄を見直してみてくださいね。





※この記事は税理士事務所スタッフが日頃の業務で感じたことや素朴な疑問をコラムとして掲載しております。念のため専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は責任を負いかねますので、個別具体的な案件に関する疑問やご相談がある場合には、弊所税理士「うめちゃん先生」まで直接問い合わせを頂くか、「お問合せフォーム」からお問合せ下さい。随時実施している無料相談会(完全予約制)もごお気軽に活用ください。





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