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税理士事務所見習いスタッフコラム【遺産分割編】認知されていない子供が認知請求を行った場合、その相続権の効力はいつから発生しますか?


「えっ、うちにこんな子いたの!?」
ある日突然、亡くなった方の知られざる“子ども”が名乗りを上げてくる——
これ、テレビドラマの話じゃなくて、実際にあり得るのです。
相続の世界には、「認知されていなかった子ども」が登場して、家族や税理士たちがザワつく場面がまれに、でも確実に起きます。





そして問題になるのが、その“名乗り出てきた子”に、いったいいつから相続権があるのか?という話。





これ、相続税の実務ではめちゃくちゃ重要なのですよ。
時期を間違えると、誰が相続人かという根本からズレてしまい、相続税の申告がやり直しになったり、税務署に「計算違ってますよ~」と指摘されることにもなりかねません。





では、もし認知されていない子どもが「父の子です」と認知請求をして、それが認められた場合、相続の権利はいつから発生するのでしょうか?





そもそも、認知って何?というところから少しだけ。





認知というのは、婚姻関係にない男女の間に生まれた子(いわゆる“非嫡出子”)が、父親から「この子は自分の子です」と認められる法的手続きのこと。
これを生前にすることもできるし、父親が亡くなったあとでも「認知の訴え」として家庭裁判所に申し立てることができます。





そして、民法上、認知された子は実子と同じく、親の相続人になります。
つまり、認知されたら相続できる。





じゃあ、後から認知された場合、いったいいつからその子は“相続人”として数えられるのか?
税金を計算する上で、これは切実な疑問です。





あるケースをご紹介します(もちろん、個人が特定されないようアレンジしていますよ!)。





その方は、お父様が亡くなり、相続人として母・長男・長女の3人で遺産分割協議を済ませ、相続税の申告まで終わっていました。
ところが!





申告から数ヶ月後、「亡くなったお父様に、別の女性との間に生まれた子がいたらしい」との連絡が。
えっ…何それ初耳…と動揺するご家族。しかも、その子が裁判所に認知の訴えを起こしたというのです。





そして数か月後、その子の認知が裁判で認められました。
さあ、ここで大混乱です。





「この子って、父が亡くなった時点で相続人だったの?」
「私たちで分けた遺産、どうなるの?」
「もう相続税の申告、出しちゃったけど!?」





…はい、これ、けっこう税理士泣かせの展開ですよね。
でもご安心ください。実はこういうケース、民法と税法でちゃんとルールが決まっているのです。





まず法律的にはどうかというと、ズバリ、認知の効力は遡って発生します。





つまり、裁判で「この子はあなたの子です」と認められたら、その効力はその瞬間からではなく、「生まれたときにさかのぼって父の子だったことになる」と民法で定められているのですね(民法第784条)。





なので、父が亡くなった時点では戸籍に名前も載っておらず、誰も存在すら知らなかったとしても、認知が確定した瞬間に、“そのときすでに相続人だった”という扱いになるのです。





え、じゃあ、申告済みの相続税どうするの?という話になりますよね。
これについては、認知された子が相続人に加わったことで、遺産の分け方が変わる可能性があるので、当然、相続税の申告内容にも影響が出ます。





つまり…





・法定相続人の数が変わる(基礎控除も変わる)
・各人の取得財産が変わる
・税率や控除額も変わる





といった形で、相続税の申告を“やり直す”必要が出てくる可能性があるのです。





ただし、「はい、じゃあすぐ修正しましょう」とはならないのが、この世界の面倒なところ。





なぜなら、認知された子が本当に相続財産を受け取るかどうかは、結局のところ、相続人全員での話し合いや調停などの結果次第だから。
遺産分割協議をやり直すか、新たに加わった子が“自分の取り分は○円でいいです”と合意してくれるか、それによって申告修正の中身も変わってくるということだそうです。





というわけで、頭の中を整理すると
その子の相続権は「父の死亡時点」に遡って発生する





■その結果、相続人の構成や相続税の計算が変わる可能性がある
相続税の申告を修正する必要があるかもしれない





■でも、申告修正は“認知された子と他の相続人の話し合い”の結果を待ってから
話し合いが整った時点で、適切に税務処理するのが重要





こういうケースに出くわすことは珍しいですが、「うちは大丈夫」と思っていても油断は禁物。
特に、被相続人が事業主だったり、資産家だったりすると、思わぬ過去が“税務”という角度から突然浮上してくることもあります。





私たち税理士事務所としては、そうしたイレギュラーなケースも視野に入れつつ、
「誰も損をしない、トラブルにならない」というような形で、適正な税務申告をお手伝いしています。





もし「うちもそういう話が…」とか、「もしかして似たケースかも?」と心当たりがあれば、
早めのご相談が安心です。





知らない子が現れても、スマホの通知じゃ気づけませんからね。





※この記事は税理士事務所スタッフが日頃の業務で感じたことや素朴な疑問をコラムとして掲載しております。念のため専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は責任を負いかねますので、個別具体的な案件に関する疑問やご相談がある場合には、弊所税理士「うめちゃん先生」まで直接問い合わせを頂くか、「お問合せフォーム」からお問合せ下さい。随時実施している無料相談会(完全予約制)もごお気軽に活用ください。





「うめちゃん先生」ってどんな人? うめちゃん先生のご挨拶動画はこちら


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