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二世帯住宅を活用した相続税節税戦略:小規模宅地等の特例で大幅減税を実現する方法


二世帯住宅が注目される理由





相続や資産承継を考えるとき、「二世帯住宅」という言葉が近年注目を集めています。親世帯と子世帯が同じ家に暮らす二世帯住宅は、家族の絆を深めるだけでなく、相続税の節税にもつながる住宅資産戦略として脚光を浴びているのです。特に不動産資産を多く持つ富裕層にとって、自宅の土地にかかる相続税を軽減できる可能性のあるこの手法は見逃せません。
実は、親子が同居する自宅の土地については「小規模宅地等の特例」と呼ばれる制度を活用することで、相続税評価額を減額できる場合があります。例えば、評価額が5,000万円の土地でも、この特例を使うことで評価額が1,000万円まで下がるケースがあるとされ、結果的に納める相続税が減る可能性があるのです。では、なぜ二世帯住宅がこの特例の活用と相性が良いのか、その仕組みや条件、注意点を一緒に見ていきましょう。





小規模宅地等の特例とは?





 まず「小規模宅地等の特例」について簡単に説明しておきます。この制度は、一定の条件を満たす宅地について、相続税の課税価格の評価額を最大で一定の割合まで減額できる制度です。被相続人が住んでいた宅地については、配偶者や同居の親族が引き続き居住する場合に適用されることがあります。これにより、自宅を守ることができ、残された家族が住み慣れた土地を手放す必要がなくなるという趣旨があります。
もちろん、特例の適用には条件があります。たとえば、相続する親族が被相続人と同居していたことや、相続税の申告期限までその土地を所有していることなどです。これらの条件を満たすことで、特例が認められる可能性があるのです。





二世帯住宅の同居要件について





ここで二世帯住宅が関係してきます。親と子が同じ建物で暮らしている場合、その同居の実態があれば、特例適用の前提となる「同居親族」として認められる可能性が高まります。例えば、親世帯と子世帯が玄関を共有していない「完全分離型」の二世帯住宅であっても、実態として生活の拠点が同一であれば、形式的な構造に左右されずに同居と判断されるケースもあります。
ただし、税制は個々のケースにより解釈が異なる場合もありますので、事前に税理士などの専門家と相談することが大切です。





登記形態が節税に与える影響





二世帯住宅を建てる際には、その所有形態、つまり登記の方法も重要な検討事項です。主な登記方法には「単独登記」「共有登記」「区分登記」があります。単独登記は一人の名義で所有する方法、共有登記は親子など複数人で共有する方法、そして区分登記は建物を物理的・法律的に別々の住戸として分けて登記する方法です。
小規模宅地等の特例の適用を受けやすいのは、一般に単独登記や共有登記です。これらは一つの建物を親子で共有している形になるため、同居の事実があると認められやすいと言われています。一方、区分登記では建物が完全に別々の住宅とされてしまい、同居の実態があっても、税務上は別居とみなされて特例の適用が難しくなる可能性があります。





富裕層が今、対策すべき理由





相続税の基礎控除額が引き下げられたことにより、都市部に不動産を所有する富裕層の方々も、以前に比べて相続税の課税対象となるケースが増えてきました。さらに、不動産価格の上昇もあり、想定以上に相続税評価額が高くなることもあります。そのため、相続税の圧縮を目指して二世帯住宅を活用することは、有効な資産防衛手段の一つといえるでしょう。
また、制度が現在の形で継続される保証はありません。税制は今後見直される可能性があるため、適用条件が厳しくなったり、特例そのものが変更されることも考えられます。そうなる前に行動しておくことで、現行制度の恩恵を最大限活用することができます。





設計・計画段階で気をつけたいこと





二世帯住宅を節税目的で検討する際には、設計段階からの計画が非常に重要になります。特に注意すべきは、登記の方法、資金の負担割合、そして生活の実態です。たとえば、親が建築費用をすべて負担した場合、住宅全体が親の資産とみなされ、相続時に全額が評価対象となります。しかし、子世帯が一部費用を負担し、共有登記を行えば、その持分については既に子の所有財産となるため、相続対象から外すことができる場合もあります。こうした持分の設定や、資金移転の方法には贈与税やその他の税務リスクも伴うため、やはり専門家のサポートが不可欠です。また、同居の実態を明確にするために、住民票の移動や生活拠点としての利用を明確にするなどの準備も必要です。税務署が実態を確認する際には、書類上の情報だけでなく、日常の生活状況にも注目することがあります。





トラブル事例とその回避策





二世帯住宅をめぐる相続では、トラブルも珍しくありません。特に多いのは、兄弟姉妹間の不公平感や、登記形態による誤解、相続後の不動産処分に関する意見の対立などです。たとえば、共有名義にした結果、相続後に兄弟での意見が合わず、不動産を売却できない、あるいは修繕費の負担を巡って争いになることもあります。こうしたトラブルを避けるには、事前に家族でしっかりと話し合いを持ち、可能であれば遺言書を作成しておくことが有効です。また、第三者である専門家の立会いや意見を取り入れることで、より冷静かつ公平な相続の準備が可能になります。





専門家に相談する重要性





相続や不動産登記、税務といった分野は非常に専門的です。特に節税を意識して二世帯住宅を活用しようとする場合、適用要件を正確に理解し、適切な手続きや準備を進めていくことが成功の鍵となります。
税理士、司法書士、建築士、不動産の専門家など、分野ごとのプロフェッショナルに早い段階から相談し、チームで動くことが理想的です。誰に相談してよいか分からない場合は、まずは相続に強い税理士事務所や、信頼できる不動産コンサルタントに問い合わせてみると良いでしょう。
二世帯住宅を活用した相続税対策は、制度の理解と的確な計画によって、大きな効果をもたらす可能性があります。ただし、それには正しい知識と専門的な助言が不可欠です。家族が安心して次世代に資産を承継していくために、まずは一歩を踏み出し、信頼できる専門家に相談してみてください。






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