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森林所有による相続税の軽減と環境保全の両立 ~知らないと大変!相続で困らないための秘訣~


はじめに:森を持つことが相続対策になる時代に





「森林を所有していると相続税が減るらしい」
そんな話を耳にして、半信半疑になった方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、相続税の課題は多くの資産家にとって避けて通れないテーマです。そして今、国が進める森林保全政策の一環として、一定の条件を満たす森林を所有・管理することで、相続税の一部が猶予される制度が存在します。これはあくまで国の法律に基づく正式な仕組みであり、正しく理解し適切に活用すれば、将来の資産承継をスムーズに進めるためのひとつの選択肢となり得るものです。
本記事では、「森林所有による相続税対策と環境保全の両立」について、資産家の皆さまに向けてわかりやすくご紹介していきます。税金の軽減という側面はもちろん、森林という資産が持つ環境的・社会的価値についても、あらためて考えるきっかけになれば幸いです。





「森林経営計画」に基づく納税猶予制度とは?





この制度は、被相続人が森林の管理を計画的に行っていた場合に、相続税の納税について一定の猶予を受けることができる仕組みです。要点としては、相続人がその森林を一括で引き継ぎ、引き続き適切な管理を行っていくことを前提としています。
ただし、誰でもすぐに利用できるわけではなく、いくつかの条件が定められています。たとえば、相続の対象となる森林が、国や自治体の認定を受けた「森林経営計画」の対象であること。さらに、その管理が一定の基準に基づいて継続されていることなどが求められます。
また、計画の認定だけではなく、相続が発生する前に、後継者となる相続人についてあらかじめ国の確認を受けておく必要があります。こうした事前の準備がない場合には、制度の対象外となる可能性もあるため、活用を考えるのであれば早めの対応が肝心です。





制度を使う意味と、得られるもの





この制度を通じて得られるものは、単に税の軽減といった経済的側面にとどまりません。むしろ、資産としての森林の価値を再評価する機会でもあるのです。
たとえば相続時に森林を手放さずに維持することで、次世代へ「自然というかけがえのない資産」を残すことができます。また、森林は適切に管理すれば、木材の収益や環境価値の創出といった、将来に向けた経済的可能性も秘めています。
近年では、森林の持つ二酸化炭素の吸収能力や、災害時の土砂崩れ防止、水源涵養といった公益的機能があらためて注目されています。これらの価値を維持・発揮させるためには、管理の手を止めず、計画的に整備していくことが必要です。
こうした観点からも、この制度は単なる節税テクニックではなく、「社会や未来世代への責任ある資産承継」としての意味を持っているのです。





よくある課題と、その乗り越え方





森林の相続には、他の不動産や金融資産と比べて特有の課題があります。
たとえば、代々受け継いできた山林が「どこにあるのか分からない」「境界が曖昧」といったケースが実際に起こっています。また、森林経営計画の策定には自治体や森林組合との協議が必要となり、手続きや書類作成に一定の専門知識も必要になります。
さらに、相続人が複数いる場合には、森林の扱いを巡って意見が分かれることもあります。山を管理するのは誰なのか、あるいは手放すべきか―。そうした話し合いがスムーズに進まないことも多いのです。
これらの課題を回避するには、相続が発生する前から、後継者を明確にし、家族内での意思疎通を図っておくことが何より大切です。加えて、税理士や森林組合の担当者など専門家の力を借りて、計画的に準備を進めていくことが安心への第一歩になります。





森林は本当に「得」なのか?という素朴な疑問について





「山なんてお金にならないし、負担が増えるだけでは?」という声も、決して少なくありません。
たしかに、森林はすぐに大きな利益を生む資産ではありません。むしろ、手入れや税金、登記などの維持管理には一定の労力と費用がかかります。しかし、それと引き換えに得られるものも多くあります。
たとえば、適切な管理が行われている森林では、間伐材の販売や木材価格の変動によって収益化のチャンスが訪れることもあります。さらに、地球温暖化対策の一環として、森林の二酸化炭素吸収量に価値を見出す「カーボンクレジット」などの取り組みも進んでいます。
一方で、相続時に税金の負担を軽減できることも、財産全体の保全という観点から見れば大きな意味を持ちます。森林を単体で考えるのではなく、不動産・金融資産と組み合わせた“資産ポートフォリオの一部”として位置づけることで、森林の持つ役割はぐっと明確になるはずです。





森林信託や法人所有など、新たな管理の形も





近年では、森林の管理を自分で行うのが難しい場合に備え、信託会社や森林組合と連携して管理を委託するケースも増えてきました。
「森林信託」と呼ばれる形では、森林を信託財産として信託会社に預け、専門家の手で維持・管理してもらうことができます。これにより、所有者は日常的な管理負担を軽減できるだけでなく、森林の価値を長期的に維持することにもつながります。
また、家族で一般社団法人を設立し、その法人に森林を移転することで、半恒久的に森林を管理・保有する手段もあります。これは相続時の所有権移転を避け、管理の一元化や承継の円滑化を図る目的にも有効です。
こうした手法は、制度上の制限や税務上の取り扱いについて専門家の確認が必要ですが、選択肢として知っておく価値は十分にあります。





まとめ:森林相続は、未来への投資





森林の相続は、決して楽な道ではありません。準備には手間も時間もかかりますし、必ずしも全てのケースに当てはまるとは限りません。しかし、それでもあえて森林を“持ち続ける”という選択をすることには、大きな意味があります。
節税の可能性に加えて、自然資産としての価値、地域社会や環境への貢献、そして何より家族の未来に向けた資産承継の一環として、森林は見直すに値する存在です。
制度の利用を検討する際は、必ず信頼できる税理士・行政書士・森林組合などと連携し、無理のない形での適用や管理体制の構築を進めていくことが重要です。
もしご家族やお知り合いに、森林を所有されている方がいる場合には、ぜひ一度このテーマについて話し合ってみてください。知っているか知らないか、それだけで未来が大きく変わることもあります。
今こそ、森林を「見直す」タイミングです。節税だけではなく、人と自然のつながりを守る取り組みとして、森林相続に目を向けてみませんか?






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