保証債務は債務控除の対象になりますか?【新潟相続専門税理士ブログ】
Question
父は生前、知人Aが銀行から2,000万円を借り入れる際に保証人になるよう頼まれ、保証人となっていました。父名義の土地を担保としてその銀行に提供していますが、この度父が死亡しました。
この場合、父が保証人となっているAの債務2,000万円は相続税の計算に当たり債務控除の対象となりますか。
Answer
保証債務は原則として債務控除の対象になりません。
保証債務とは、債務者が返済不能となったときに代わりに返済する義務を負うことを言います。
また、本来の債務者が返済できず、代わりに保証人が支払った後、保証人は本来の債務者に返済を求めることができます。これを求償権と言います。
債務控除の対象となる債務とは、①被相続人の債務で相続開始の際に現に存するものであり、②確実と認められるものに限る、と定められています。
保証債務は、債権者から請求されるかどうかが不明で、かつ請求されたとしても上記のように求償権が使えることから、確実な債務には該当しないと考えられます。
そのため原則として保証債務は債務控除の対象となりません。
ただし、以下の状況の場合は債務控除の対象となります。
① 相続開始の時点で本来の債務者が弁済不能の状態にあるため、保証人がその債務を返済しなければならない場合
② 本来の債務者に求償しても返還を受ける見込みがない場合
以上の場合は、本来の債務者の弁済不能の部分の金額は保証人の債務とされ、債務控除の対象となります。
今回の保証債務と似た内容で連帯債務がありますが、こちらは主たる債務者と連帯して債務を負担することをいいます。
基本的な内容は保証債務と同様ですが、こちらの方が連帯により責任が大きくなり、事由が発生した場合の取り扱いも若干変わってきます。
被相続人が今回のご質問のような保証人又は連帯保証人となっていた場合には、正しく債務控除を活用したうえで相続税申告ができるよう、ぜひご相談ください。
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